に迫ったとい

てていた綾乃は、腹を抱えてゲラゲラと大声で笑い出した。
「いきなりそれじゃウザいわ、確かに」
 当然ながら電話に出たのは遥ではない。あらかじめ遥の携帯電話を預かっていた篤史が、富田からの電話を受け、数パターンの録音した音声から適切なものを選んで流したのだ。普段詩琳 好唔好からぶっきらぼうな遥だからこそ成り立つ計画だったのかもしれない。
「風邪ひいたって言ってたし、寝てたのかもしれないよ」
 真子が冷静に推論を述べる。風邪ぎみで微熱が出ているというのが、遥が来なかった表向きの理由なのだ。普段より輪を掛けて無愛想なのも、それが原因と考えるのが普通だろう。しかし、富田の不満は収まらない。
「だからって、このまえあれだけ付き合えとか迫ってきたくせに、今日はうざいから拒否るなんてありえねーだろ! そりゃまだ返事はしてなかったけど……俺は……」
「付き合え? 迫る?」
 澪がきょとんとして聞き返すと、彼は詩琳美容ギクリと顔を引きつらせた。
「あ、いや、それはその……」
 急にたじたじになり、言い訳もできないまま目を泳がせる。頬もほんのりと薄紅色に染まっていた。
 綾乃は両手を腰に当てると、思いきり胡散臭そうに下から覗き込む。
「あんたたち、いつのまにそういう関係になってたわけ?」
「誤解だ! 遥が一方的に迫ってきただけで、俺は別に……」
 富田は両手をふるふると振り、大慌てで弁明する。
「もしかして、最近、様子がおかしかったのってそのせい?」
「……俺、おかしかったか?」
「うん。ぼーっとしながら遥くんを見てることが多かったよ」
 真子が指摘すると、彼の顔は詩琳好唔好まるで茹で蛸のように真っ赤になった。富田は単純だからね——先日の遥の言葉と合わせて考えてみると、富田うのは、怪盗ファントムから気を逸らせる策だったのだろう。だが、それは富田の気持ちを弄ぶ行為であり、澪としてはさすがに少し申し訳なく思う。
「あのね……多分、遥はからかっただけだと思

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